シアリスの有効成分の効果
クリニックで患者に処方される人気上昇中のシアリスは比較的新しい厚生労働省にも認可されている黄色いED治療薬でタダラフィルという有効成分が含まれています。インターネット通販サイトを利用すると簡単に購入できるようになったこの黄色い錠剤はどのような効果を持ち、従来のED治療薬とは何が違うのでしょうか?見ていきましょう。
■タダラフィルの効果
タダラフィルは、PDE-5阻害薬の一種です。PDE-5とは、人の体に存在する酵素の一種です。この酵素には、血管を収縮させる作用があり、タダラフィルはこの酵素の働きを妨げることで、血管の収縮を抑制、つまり血管を広げる働きを持ちます。
その作用のメカニズムにはさらにいくつかの物質が関わっています。私たちの体の血管にはいくつかの種類があり、その中にNO作動性血管というものがあります。この血管はNOという物質の働きによって、広げられます。何かの刺激が起こり、体の中にNOという物質が増えてくると、さらにcGMPという酵素を産生させます。cGMPは血管に直接作用し、血管の筋肉を緩めます。こうして、NOの増加→cGMPの増加と順を追って、血管は広がるのです。
PDE-5はここで重要となるcGMPを分解する働きがあります。一旦血管が広がると、いつまでもそのままではいられません。元に戻す力が必要ですよね。この力がPDE-5の作用なのです。タダラフィルは、このPDE-5の作用を邪魔しますから、血管が広がる作用が続くことになるのです。
つまり、タダラフィルの効果の本質は、血管を広げることにあるのです。
■タダラフィルはED治療以外にも使われている
タダラフィルは血管を広げる働きがあります。この働きを利用して、ED治療以外にも用いられているのです。
一つは肺動脈性肺高血圧症という非常に重篤な病気です。肺に血液を送り出す肺動脈が狭くなることで、全身の酸素不足が生じてしまいます。タダラフィルは、狭くなった肺動脈に作用して血管を広げ、症状を改善させる効果が期待されています。
もう一つは、前立腺肥大症です。前立腺肥大症は中高年男性に非常に頻度の高い病気で、排尿障害を生じます。タダラフィルが、前立腺や膀胱の筋肉を緩めることで症状改善が期待されています。
それぞれ同じタダラフィルが使用されていますが、容量と名称が異なります。
シアリスでEDを改善する
シアリスの錠剤の効果は血管を広がることでした。では、血管を広げる作用がどのようにED改善につながるのでしょうか?
■勃起の仕組み
まずは、勃起のしくみを詳しく見てみましょう。
男性は、性的な刺激が加わると興奮します。このときの刺激は直接的な肌の刺激だけでなく、性的な画像を見たり、想像したりしただけでも生じます。性的興奮は大脳に伝わり、大脳はNOという物質の産生を促します。
NOは血管が広がるときに最初に作られる物質でしたね。このNOが増えることで、cGMPが増加し、血管が拡張されるのでした。血管拡張への一連の流れは、陰茎海綿体にも及びます。陰茎海綿体の血管はNO作動性血管であり、このような一連の流れの効果を受けることになります。陰茎海綿体は普段は柔らかい状態なのですが、血管が開いて血液が集まると、スポンジが水を吸ったように大きく硬く膨らみます。
陰茎海綿体が大きく硬く膨らんだ状態が勃起です。つまり、勃起とは陰茎海綿体の血管が広げられ、血液が集中することで引き起こされる生理現象なのです。
■シアリスと勃起効果
シアリスは薬剤でPDE-5阻害作用は陰茎海綿体にも及びます。PDE-5という酵素の働きを妨害することで、血管を広げるcGMPという酵素の分解量が少なくなりいつまでも作用が持続します。その結果、血管が広がる作用が高まるのです。
勃起の正体は、陰茎海綿体の血管拡張でしたね。シアリスによって陰茎海綿体の血管が広がると、勃起しやすくなるのです。
シアリスを始めとしたED治療薬を飲むと性的気分が高まり、性欲が湧いてくると思われている人もいるでしょう。しかし、シアリスは勃起のメカニズムをうまく利用したもので、勃起をおさめようとする酵素の働きを妨げることです。その結果として勃起が促進されているに過ぎないのです。つまり媚薬や精力剤のような効果は一切ありません。性的興奮が起こり、体が勃起しようとしなければ何も起こらないのです。
シアリスの画期的な効果
シアリスはバイアグラやレビトラなどの従来のED治療薬と比較すると大きく異なる点がありますので紹介します。
■飲むタイミング
シアリスはブロックが重なったような複雑な構造をしています。この構造のため、人の体に吸収されにくく、分解されにくいという特徴があるのです。
バイアグラやレビトラは飲んでから効果が出るまでに30分から1時間ほどかかるものでした。場合によっては15分で効果が出る人もいるようです。このため、従来のED治療薬は性行為の1時間前に飲むことが推奨されていました。つまり、デートの途中で薬を飲む必要があったのです。
しかし、シアリスは飲んでから効果が現れるまでに3時間ほどかかります。デートの前に飲むことも可能になりました。きちんとタイミングを取らなければならないというプレッシャーからの解放です。
■効果持続時間
体で分解されにくい構造ですから、長く体の中に留まることになります。従来のED治療薬は4時間から5時間ほどしか効果はありませんでしたが、シアリスは用量によっては36時間効果が持続するといわれています。金曜日の夜に飲んで、日曜日の朝まで効果が持続することから、「ウィークエンドピル」とも呼ばれています。
ED治療薬は24時間の間隔を空けて飲まなければなりません。つまり、バイアグラやレビトラは5時間で効果がなくなっても次の日まで飲むことはできず、一日一回の性行為にしか使用することはできませんでした。一方、シアリスは体内に前回飲んだ薬の効果が残っていても24時間あければ飲んでもよいことになっています。一日に複数回の性行為にも耐えうるものなのです。
しかし、シアリスは服用してから14時間ほどで徐々に体の中から排出されることが分かっています。ですから、最も効果の高い状態で性行為をしたい人はやはり性行為の3時間前の服用をお勧めします。
■食事の影響
シアリスは食事の影響を受けにくいED治療薬です。従来のED治療薬は食事の影響が非常に大きい薬でした。これは、脂肪成分が薬の吸収を邪魔するためで、空腹時や食後2時間、つまり胃が空っぽになっているときに飲むことが勧められています。
この食事の影響は多くの男性の悩みとなっていました。性行為の機会は夜に多く、デートのクライマックスとなります。食事をした後に性行為に持ち込むパターンが多いでしょう。しかし、従来のED治療薬はこのような一連のデートコースには不向きなものだったのです。
一方、シアリスは800kcal未満の食事であれば効果に影響はないといわれています。この改善点は非常に画期的なものでした。ED治療薬を飲んでいても通常の
デートコースを楽しめることになったのです。
しかし、食事に影響されないといわれているシアリスでも、過度な量の食事や脂っこい食事はよくないとされていますので、食事の内容には注意してください。
シアリスの副作用
シアリスは従来のED治療薬と画期的に異なる点がありました。では、その副作用はどのようなものなのでしょうか。
■血管拡張作用によるもの
従来のED治療薬もPDE-5阻害薬の一種であり、効果のメカニズムはどれも同じです。ですから、副作用もほぼ同じような症状が現れます。しかし、多くの副作用は有効成分が排出されるとともに自然に消えていくものなので心配はいりません。
シアリスは、効果持続時間が非常に長いので、副作用も長く続くの?と心配する人もいます。しかし、ご安心ください。シアリスは分解がゆっくりな分、吸収もゆっくりです。ですから、副作用が出にくいのです。バイアグラやレビトラは9割近くの人が副作用を感じているといわれていますが、シアリスで副作用が現れる人は3割程度です。
これらの副作用は主に血管が開くことで生じます。シアリスの血管拡張作用は陰茎海綿体だけでなく、全身のNO作動性血管に及びます。この結果、頭痛やめまい、ほてりなどの症状が生じます。また、体の各部位の粘膜の血流を増やし、充血することで、鼻づまりや充血、視覚障害、胃もたれなどの症状も出現することがあります。
■稀な副作用
シアリスの副作用は、通常特に問題のないものです。しかし、非常に稀ではありますが、非常に重篤な副作用が生じることもあります。
その一つが狭心症です。狭心症は心臓の血管が詰まったり細くなったりすることで、心臓に栄養や酸素が行かなくなってしまう病気です。シアリスの血管拡張効果によって全身に血流が奪われ、結果として心臓への血流が低下し、狭心症を発症するといわれています。
また、突発性難聴との関連も指摘されています。突発性難聴とは、突然、難聴や耳鳴り、めまいなどの症状が起こる病気で、特に難聴は治療が遅れると治らないこともあります。シアリスを飲んでいる人は突発性難聴になる可能性が高くなるという報告がありますが、その因果関係については立証されていないのが現状です。
シアリスの効果的な飲み方
シアリスの効果をより高める飲み方はどのようなものでしょうか?見てみましょう。
■過度なアルコールは避けましょう
多くの薬はアルコールと一緒に飲むことは推奨されていません。しかし、シアリスは少量のアルコールであれば効果に影響しないといわれています。アルコールには気持ちを落ち着かせる効果があり、ED改善によいものです。むしろ少量のアルコールと一緒に飲むことを勧められる場合もあります。
しかし、度を越えた量のアルコールは避けましょう。過度なアルコールは神経の働きを鈍くする効果がありますから、EDをさらに悪化させ、十分な効果が得られないこともあります。また、副作用が強く出てしまうこともあるので注意しましょう。
■ED原因の改善
EDにはいくつかの原因があります。大きく分けて3つの原因があり、それぞれ改善方法は異なります。シアリスにはEDそのものを改善する作用はありません。ですから、ED自体を改善すればシアリスの効果はより高くなるでしょう。では、その原因と改善方法を見てみましょう。
■精神的なもの
大きなストレスや、疲れがたまっている時は勃起障害(ED)が起こりやすくなります。誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。
最近では、30代前半などの若い人のEDが増えているといわれています。これは、ちょうど社会的、家庭的に責任が生じ始め、ストレスに晒される年代に一致しています。また、一度性行為で気まずい経験をすると、それがトラウマとなってEDが悪化することがあります。
このようなタイプでは、性行為に強迫観念を持たずにゆったりとした気持ちで臨むことが重要です。また、パートナーの理解と協力も必要になるでしょう。
■他の病気の影響
勃起するための神経や血管に障害があり、それが原因となってEDが引き起こされてしまうものです。
主なものは、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病です。これらの生活習慣病は血管や神経を傷つけます。特に血管の内側の細胞を傷つけ、血管を硬く弾力性のない状態にしてしまいます。これを動脈硬化といいますが、動脈硬化はEDの大敵です。せっかくシアリスで血管を広げようとしても、血管自体に広がる力がなければ効果は弱くなるでしょう。中高年にEDが多いのは、生活習慣病の人が多いからです。EDに悩んでいる人で生活習慣病がある人は生活習慣病の改善を行いましょう。
さらに、前立腺肥大症がある人もEDになりやすいといわれています。このタイプのEDは射精障害があることが多いです。前立腺肥大は薬によっても治療できますし、排尿障害などが重度な場合は手術で切除することもあります。
■薬の影響
高血圧などの薬の一部には、副作用としてEDが挙げられるものがあります。常用薬がある人は、一度自分の飲んでいる薬の副作用を確認してみましょう。
シアリスの効果とグレープフルーツ
シアリスは副作用も弱く、安全に服用できる薬です。しかし、シアリスはある条件の下で飲むと必要以上に効果が強くなり、重大な健康被害が生じることがあります。どのような場合なのでしょうか?
■併用禁忌薬
併用が禁止されている薬で代表的なものは、狭心症治療に用いられるニトログリセリンなどの硝酸塩、不整脈治療に用いられるアンカロン剤などです。
これらのくすりとシアリスを一緒に飲むことで、シアリスの効果が異常に強くなり、急速に大幅な血圧低下を引き起こしてしまう可能性があります。この結果、意識を失うだけではなく、心停止に至り死亡してしまうこともあるのです。
特に心臓の薬を飲んでいる人は注意が必要ですね。
■グレープフルーツ
グレープフルーツの成分には、シアリスを分解する酵素の働きを妨げる物質が含まれています。ですから、いつまでも体内に残った状態となり、効果が強くなってしまう可能性があります。また、生のグレープフルーツだけでなく、グレープフルーツジュースにも含まれている物質ですから、要注意です。
■シアリスは画期的なED治療薬
シアリスは、飲むタイミングや効果持続時間など、従来のED治療薬とは大きく異なる利点があり、これまで多くの男性が抱えていた悩みを解決してくれるでしょう。正しい方法で効果的に使用して、満足な性生活を手に入れましょう。